恒例の横須賀夏期防衛講座(*横須賀防衛10団体共催)が平成23年度は7月30日(土)横須賀商工会議所で開催されました。昨年度までは「横須賀防衛諸団体合同夏期防衛講座」と呼称されていましたが、横須賀を我が国の安全保障問題に関する発信の場としたいとの想いと広く一般市民の方々にも国防への問題意識を持ってもらいたいとの想いから、新たな講座名としたものです。
講座は、第1部「講演」、第2部「納涼懇談会」で構成されています。講演を熱心に聴講したのち、第2部では屋外の涼風の中で講師を囲み、また、参会者同士が和気藹々の懇談を通じてしばしの暑気払いをすることも横須賀夏期防衛講座の楽しみの一つとなっています。
今回の講演は、講師に帝京大学教授で東京都参与(危機管理担当)でもある“志方俊之先生”を迎え、「国が亡びる!大丈夫か、我が国の危機管理」と題して行われました。志方先生は防衛大学校2期生のご出身で、平成4年陸上自衛隊北部方面総監を最後に退官、以後軍事アナリストとして広くマスメデイアでも活躍されていることは衆知のところであります。
さて、当日は、雨模様との予報にもかかわらず多数の聴講者の参加が得られ、会場にいくつもの予備椅子を並べるほどの活況でした。その背景には、公募に応じて出席された多くの一般市民の危機管理に対する関心の高さが覗えました。
第1部の「講演」は、東北大震災で亡くなられた方々への黙祷で始まり、今次講座の主幹事である横須賀水交会の土井会長による開会挨拶、それに引き続く講師紹介で始められました。
講演は、プロジェクターで映しながら実施され、難しく複雑なテーマを平易な表現でわかりやすく話され、その軽妙洒脱な語り口は聴衆を魅了しました。
その内容は、今次大震災において日本国民が示した我慢強さと秩序ある行動の素晴らしさを導入部として、“20世紀を戦争と革命の世紀”と位置付けるとともに、現今の内外情勢の分析から“21世紀を格差拡大とその是正闘争の世紀”とする推論を軸に据え、今後の我が国の危機管理の在り方を提起する等極めて示唆に富んだものでありました。
最後に、今後の自衛官の心構え、更に言えば日本国の在り様として、米国シアトルに在る新渡戸稲造記念碑に刻まれた「武士道の五条件」を提示された。
・武士は強くなければならない
・武士は弱きを助けなければならない
・武士は自分から先に刀を抜いてはならない
・武士は成したことを恩にきせてはならない
・武士は成したあと黙って立ち去らなければならない
・・・・しかし、武士の立ち去った後は華の香りが残る
そして危機管理の要諦は、新たなものを求めるのでは無く、日本国本来の国柄を取り戻すことにあるとの言葉で結ばれました。
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