9月10日(土)横須賀地区防衛諸団体共催の横須賀夏期防衛講座が、神奈川歯科大学大講堂において開催されました。
今回の講師は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏であり、当日は、今年の夏を象徴するような猛暑の中ではあったものの、国会議員及び地方議会議員並びに約25名の現職自衛官を始め約90名の防衛大学校学生及び約60名の高等工科学校生、そして来賓、各団体会員等、総計約600名の聴講者が集まりました。
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第1部「講演」においては、小山横須賀防衛協会会長挨拶の後、佐々木横須賀隊友会会長による講師紹介が行われ、引き続き「激動する世界と日本の進路」と題し講話が行われました。
講師は、冒頭において現在がまさしく百年に一度の大きく世界が変わる局面に立たされているのだと強調することにより、聴講者の興味を引きつけました。
そして、聴講者にとっても身近な話題である、安倍晋三総理大臣のロシア、中国、東南アジア歴訪において、総理が極めて戦略的に動いたことにより、一つ一つの訪問において世界が変わっていることについての説明がありました。特に、ロシアとの関係では、安倍総理がプーチン大統領との個人的な信頼関係に基づき、日露が協力することにより領土を取り戻す努力をしていること、それがひいては中国への抑止力にも繋がることを指摘し、アジアにおいても、地政学が変わりつつあるとの説明がありました。また、この日露の関係を強めることにより、中国との関係で我が国が優位に立てることを指摘するとともに、インド、ロシア、中央アジアを繋いでいくことが中国への抑止力になるのだということが強調されました。そのためにも我が国にとってロシアとの関係の良好化が不可欠であることを、講師は指摘しました。
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講師は、米中の駆け引きについても言及され、新聞等では読み解くことのできない各国首脳等の利害を踏まえた外交交渉など、大変興味深い話を聞くことができました。我が国も安倍総理就任後、したたかな首脳外交により成果を上げていることについても説明があり、大変参考となりました。
米国の次期大統領選挙にも言及され、これからの米国はこれまでの米国とは変わっていくであろうことについても触れられ、我が国の今後のあるべき姿についても警鐘を鳴らされていたことが印象深く感じました。
また、中国のA2/AD戦略から、米国のエアシー・バトル、オフショア・コントロールについて、平易に説明されるとともに、この様な環境下で、自衛隊が警察官職務執行法の中でしか行動できないことに疑問を呈したことで、多くの参会者が溜飲を下げていました。
特に、米国はこれまで世界の警察官として世界の平和と安定に寄与してきましたが、これが薄まる可能性について指摘し、大きな戦後の構図が壊れ、これまでの方程式では解けない国際情勢になりつつあることを指摘しました。そのような中で講師は、戦後経済に特化してきた我が国ですが、これを変え、憲法を改正して自衛隊を国軍にするか、それが無理であれば自衛隊の予算を2倍にすることを提言して講演会を締めくくりました。
聴講者は大いに満足し、万雷の拍手の中、講演は終了しました。
講演後、小山会長が講演についての感想と謝辞を述べ、第1部は終了しました。
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第2部「納涼懇親会」は、場所を「神奈川歯科大学学生食堂」に移して実施されました。懇親会は、古谷範子厚生労働副大臣、三原じゅん子参議院議員、島村大参議院議員、三浦信祐参議院議員を始め、県議、市議及び自衛隊の部隊指揮官・先任伍長など、多数の来賓の出席を得て行われました。
また、講師の櫻井よしこ氏も冒頭20分程度ではありましたが、御出席いただき会員と懇親を深めることが出来ました。そのため通常は、冒頭で来賓挨拶などを頂いていたのを、講師との懇談の機会を設けるために、挨拶は会の途中に移し、中尾水交会会長の乾杯により、会が開始されました。
懇親会が開始されると、講師の周りには、講演に対する感動の気持ちを伝える者等で人だかりができ、会は開始早々、大きな盛り上がりをみせました。講師は、予定よりも若干時間を延長した後、参会者に見送られ、会を後にしました。
講師が退場された後も、会場のあちこちらで防衛論議に花が咲き、予定した時間は瞬く間に過ぎ、名残惜しさのある中、散会となりました。
平成28年度横須賀夏期防衛講座は、無事終了しましたが、これまでにない規模の講演会と懇親会を成功裏に終了することが出来たのは、横須賀隊友会を始め企画運営に携われた役員のおかげであると多くの参会者が感謝していたのでここに紹介します。
(横須賀水交会 徳丸伸一幹事 記)
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