令和3年度
       
      笑顔を運んできた「ゆうぎり」帰国行事  

 令和3年も残り少なくなった12月19日、横須賀港吉倉岸壁において、第39次派遣海賊対処行動水上部隊「ゆうぎり」の帰国行事が執り行われました。

 「ゆうぎり」は、コロナ感染が拡大していた6月5日に横須賀を出港し、港外において感染防止措置を行った後、7月22日から約4か月間、ソマリア沖・アデン湾において航行船舶の直接護衛や区域防護活動に従事していました。
 11月下旬に任務を完遂し、以後の活動を「ゆうだち」に申し継いだ後、各国海軍との共同訓練を行いながら日本を目指し、半年ぶりに母港の横須賀に帰ってきました。

 入港当日は朝から快晴で、青空を背に徐々にその姿を大きくする「ゆうぎり」に、この日を待ち望んでいた乗員家族の皆様からははち切れんばかりの笑顔と共に1オクターブ高い歓声が上がっていました。

 一方で、昨年春にコロナ感染が急拡大した以降は、この種行事は海自隊員だけで実施されていましたが、年末になり感染がやや治まってきたことから、今回初めてご家族や部外来賓をお呼びできるようになり、行事を執行されている総監部の皆さんの顔にも笑顔が浮かんでいたように感じられました。

 行事は熊代艦長の整斉とした帰国報告で開始され、岩本防衛大臣政務官から「ゆうぎり」に対する総理大臣特別賞状の伝達、並びに艦長に対する第1級賞詞の授与が伝達されました。
 続いて湯浅自衛艦隊司令官から「ゆうぎり」の佐々木先任伍長に対して統合幕僚長からの第3級賞詞の伝達が行われましたが、このような行事の中で先任伍長の功績が披露されたのは初めてのことではなかったかと思います。

 政務官の訓示では、海上交通の大動脈である同海域の安全確保に寄与した功績と、「ゆうぎり」として4回目となる中東派遣に加え、コロナの影響で寄港地における行動が制約されてしまった乗員に対する労いの言葉が述べられました。

 自衛艦隊司令官からは、5回の直接護衛と99日間の区域防護によるシーレーンの安全確保、並びに各国海軍との共同訓練を通して国内外の信頼を高めたことへの称賛の言葉が述べられた後、正月は家族の皆様とゆっくり休んで次なる任務に備えて欲しい旨の訓示がありました。

 上地横須賀市長からは、長期間の任務に対する労いの言葉と、横須賀市はこれからも海自をしっかり支えていくという心強い祝辞がありました。

 最後に、行事に参列された海上保安庁瀬口保安監、廣川第三管区保安本部長や地元自治体の議員の皆様等から乗員に対して温かい言葉が贈られ、帰国行事は滞りなく終了しました。

 行事終了後、「ゆうぎり」甲板士官の「かかれ!」の号令とともに家族の元に駆け寄って子供を抱き上げたり、写真に納まる笑顔いっぱいの隊員の姿に「愛する人を守る気持ちが国を護る原点になっているなぁ!」と久し振りに和んだ気持で岸壁を後にすることができました。

   (永田会員 記)