令和4年度
       
      世界一周へ「かしま」立ち - 令和4年度遠洋練習航海部隊出国行事 -  

 令和4年4月24日(日)、曇天の横須賀基地逸見岸壁において令和4年度遠洋練習航海部隊の出国行事が行われました。
 過去2回の同行事は、新型コロナウィルス感染防止のため部内のみで行われていましたが、今年は、3年振りに家族等の見送りを受けての開催となりました。
 横須賀水交会からは、永田会長が来賓として参列したほか、会長の同行者として松下幹事長、隊友会横須賀支部長代理(支部長の濱田幹事は神奈川県隊友会支部長代理)として池田常務幹事、タイ王国留学生のホストファミリーの同行者として鳥居幹事が参列しており、池田常務幹事が持参した数本の水交会手旗がそれぞれに手渡されました。

 遠洋練習航海部隊の陣容は、練習艦隊司令官 小牟田 秀覚 海将補(幹候44期)を指揮官として、艦長 小野 修司 1等海佐(幹候46期)率いる練習艦「かしま」及び艦長 萬年 敬 2等海佐(幹候49期)率いる練習艦「しまかぜ」の2艦であり、実習幹部である幹候72期生158名(うちタイ王国留学生1名)を含む総員537名が乗艦しています。

 令和4年度の遠洋練習航海は、西回りに地球を一周する予定で、ディリ沖(東チモール)、コロンボ(スリランカ)、ジプチ、ツーロン(仏)、ロンドン(英)、ノーフォーク(米)、パナマシティ、パールハーバー(米)を経て8月22日に横須賀に帰港するというものです。
 4ケ月間で世界一周というのは、かなりハードな航海が予想されますが、東チモールとは外交関係樹立20周年、スリランカとは国交樹立70周年、イギリスとは日英同盟締結120周年の節目の年の寄港であり、外交上、十分な配慮がなされています。
 なお、駐ジプチ日本大使は、第56代練習艦隊司令官で情報本部長を最後に退官した大塚 海夫 氏で、自衛官出身初の大使であります。

 遠洋練習航海部隊は、3月12日、幹部に任命されたばかりの実習幹部を乗せて江田内を出港、各種訓練等を実施しつつ神戸及び沖縄の勝連に寄港し、4月1日、横須賀基地に入港しました。
 横須賀在泊中には、彬子女王殿下のご講話のほか、海上幕僚長を始め自衛艦隊司令官等の指揮官及び有識者の講話や防衛省、最新鋭艦「くまの」等の部隊研修、靖国神社や千鳥ヶ淵等での慰霊顕彰などのハードスケジュールをこなしました。
 なお、水交会理事長で元練習艦隊司令官でもある杉本氏も講話されております。また、この間の新型コロナ対策として入港直後には3回目のワクチン接種を行い、出国の10日前から艦内に留め、3日前にPCR検査を受検して遠洋航海に臨みました。

 出国行事当日は、横須賀音楽隊と「かしま」艦上の練習艦隊音楽隊によるコラボ演奏が早くから駆け付けた約360人の見送りの家族等を楽しませていました。また、岸壁では、練習艦隊司令官と両艦長が来賓など見送りの人々と歓談する和やかな光景も見られました。

 出国行事は、午前9時15分から鬼木防衛副大臣への栄誉礼に引き続き行われ、先ず、鬼木防衛副大臣が「ロシアのウクライナ侵略など厳しい国際情勢下、国民の生命と平和を守り抜くために何を為すべきかという課題をもって臨み、大きく成長して帰国することを楽しみにしている。」と訓示されました。
 続く田中横須賀副市長が「ウクライナ情勢の影響もあって国民の自衛隊への期待がかつてなく大きい。この航海が、世界に誇る海自のネイバルオフィサーとして活躍する端緒となるよう祈念する。8月に横須賀での再会を楽しみにしている。」と上地市長の来賓祝辞を代読されました。
 次いで、酒井海上幕僚長が、出国準備関係者への感謝と慰労を述べたのち、現下の厳しい情勢にあって実習幹部は国際感覚を磨き、初級幹部として必要な知識技量を磨き、指導官たる乗員はしっかり実習幹部を鍛えるよう訓示されました。

 最後に、小牟田司令官が、自衛隊の将来を担う幹部の育成と訪問国との友好親善に努めてくる旨の出国報告を行って行事は終了し、引き続き、音楽隊の演奏する「行進曲軍艦」に合わせて、しまかぜ乗員、かしま乗員、司令部の順に来賓の前を1列縦隊で敬礼しつつ行進してそれぞれの艦に乗艦していきまました。

 行事が終了すると同時に、在泊艦艇のマストに安全航海を祈る意味の信号旗が一斉に掲揚され、出国する2艦から速やかに応答旗が揚がりました。やがて「しまかぜ」、「かしま」の順に岸壁を離れ、岸壁では自衛艦旗や水交会旗の小旗が打ち振られる中、上甲板の実習幹部及び乗員は、「帽振れ」で見送りの来賓家族に別れを告げました。

   (松下 泰士 幹事長 記)