H17夏期防衛講座

 未明に関東地方を直撃した台風11号一過の平成17年8月26日(金)、記念艦三笠に外交評論家、岡崎研究所所長の岡崎久彦先生を講師としてお迎えし、平成17年度防衛諸団体合同夏期防衛講座が開催された。

 本講座は、毎年、横須賀防衛協会、隊友会横須賀支部等、防衛関係11団体が共同で催しているものであるが、今年は横須賀水交会が主幹事として諸準備、運営の任に当たった。特に今回は、講師が多くの著書、評論で名高い岡崎先生ということもあって、会場となった講堂は、来賓としての西原防衛大学校長、吉川横須賀地方総監を始めとする現役指揮官等を含め、約300名の聴講者でほぼ満席となった。


 15時30分から、小山横須賀防衛協会会長の挨拶、海野横須賀水交会会長の講師紹介に引き続いて、岡崎講師から日本海海戦100周年に因んで「日露戦争と日本の外交」と題して講話が行われた。

 講師が、同戦争の勝因として強調されたのは、第一に小村寿太郎の功績と言うべき大戦略としての日英同盟締結があり、これによる情報と金の面での心配がなかったこと。また、ロシアの戦争準備が整う前に開戦時機を選んだこと。そして、当時の国民(庶民)の圧倒的なまでの愛国心と能力の高さであった。
 また、講師から、一般に日露戦争を勝った明治の政治家、軍人と比較して、前大戦で敗れた昭和初期の軍人等はダメだったというのが定説ではあるが、両者は基本的に同じ教育基盤に立脚しており、後者の方が人格・知力・度胸等の面でむしろ優れていたと思う、ただし,戦後の日本人とこれらとはかなり断絶があるとのお考えが披瀝された。

 講話後、17時過ぎからは、三笠上甲板において、納涼(?)懇親会が、中島自衛艦隊司令官を始めとするさらなる現役来賓の追加参列も得て盛大に催され、終始和やかな歓談の輪が拡がった。 

 一角には著書販売コーナーが設置されたが、岡崎先生は100名以上の図書購入者一人一人あてに丁寧に署名を行われ、参加者に大きな感銘を与えられた。